よくある初心者の勘違いは「本で勉強する」「とりあえず経験を積む」「億トレーダーの真似をする」ことで稼ぎまくろうとすることです。
これらをする前に知っておかなければならないことがあります。
長いですが、このくらいの長さの文章を読むことを惜しむのであれば投資に手を出さない方が無難だと思います。
私は「投資は真剣に取り組まなければ損を出すだけ」だと考えています。
できるだけわかりやすく説明します。
よくある株初心者の間違い
株式投資をこれから始めようとしている人によくある間違いについて説明します。
本を読んで勉強?
勉強しようとする姿勢は素晴らしいことです。
ただし、安易に本に書かれている手法に手を出してはいけません。
例えば、「移動平均線がゴールデンクロスしたら買い!」などを信じてはいけません。
これから投資を勉強する人に強く意識していただきたい亊があります。
「投資手法は自分の頭で考えるものである」
大事なことなので10回復唱した後、メモして壁に貼っておきましょう。
「移動平均線がゴールデンクロスしたら買い!」で必ず儲かる訳がありません。
あなたが「買い」ということは他の誰かが「売り」をしているということです。
チャートを見ていると忘れがちですが、売買は一人ではできません。
売買には必ず相手がいることを意識してください。
もしその相手があなたより株式市場に精通し、投資手法が洗練された相手だったら?
おそらく損をするのはあなたの方でしょう。
具体的なエントリーポイントを教える投資情報に出会ったら必ず思い出してください。
- 「投資手法は自分の頭で考えるものである」
- 「それを教えるのはなぜなのか」
- 「初心者をカモにするための情報ではないか」
本やその他媒体の投資情報は「自分で手法を編み出すためのヒント」として使うようにしましょう。
決して具体的な投資手法や「必ず儲かる」などの情報にハマらないようにしてください。
また、全くの初心者がいきなり本を読んでもどの情報が重要な情報なのかの判断ができません。
重要な事項については当サイト内でも「重要」とわかりやすく書いていますから、少なくとも当サイト内だけでも読んでから次に進みましょう。
(無駄な損失を出さないためにも…)
- ポイントまとめ
- 投資手法は自分の頭で考えるものである
- 売買には必ず相手がいることを意識する
- 投資情報を見たら「それを教えるのはなぜなのか」考える
- 投資情報を見たら「初心者をカモにするための情報ではないか」考える
- 投資情報は「自分で手法を編み出すためのヒント」に使うものだと意識する
とりあえず経験を積む?
投資をはじめる際に「とりあえずやってみよう」と勧める人もいます。
確かに実際にやってみるのは理解も早まりますし悪いことではありません。
ただし、いくつか注意しなければならないことがあります。
基本を理解していなければ経験を積んでも非効率
なんでもかんでもやってみればいいというモノではありません。
まずは基本事項と重要事項を頭に入れてからとりかかりましょう。
これらが頭に入っているかどうかでその経験から得られる経験値が雲泥の差になります。
基本事項と重要事項については当サイト内でも説明します。是非ご覧ください。
また、デモトレードで利益を出したから大丈夫だと思っている人も要注意です。
「デモトレードはツールの使い方を覚えるためのモノ」
であって
「投資手法を試すためのもの」
ではありません。
実際にお金を出すのと出さないのとでは採る投資手法の大胆さや相場への影響力が変わります。
また、心理状態や損切りラインの設定なども大きく変わってきます。
あくまでもデモトレードはその投資ツールの使い方を覚えるものであると認識しましょう。
- ポイントまとめ
- 基本を理解していなければ経験を積んでも非効率
- 基本事項と重要事項を理解してから経験を積む
- デモトレはツールの使い方を覚えるためのモノ
- 実際にお金を投資しなければ経験は積めない
億トレーダーの真似をする?
実際に成功している人の真似をすること自体は非常に効果的な勉強法です。
しかし、株式投資においては注意しなければならない点がいくつかあります。
億トレーダー達のブログでは具体的にその日の取引銘柄や損益の額が記載されていることが多いです。
「そもそもそれって真実ですか?」
おそらく記載している内容については真実なのだと思います(そう信じたい)
しかし、全てを記載しているとは限りません。
中には、「その運用金額でその銘柄を売買してその利益の額はおかしい」ことがあります。
私は「他にも安定して利益をだしている取引銘柄あるでしょう~?ニヤニヤ」と楽しみながら見ています。
この判断が付きますか?
付くのであれば、億トレーダーのブログは参考になると思います。
中には投資手法のヒントになる記載もあります。
個人的には、初心者を新興市場の低位株に誘導したい目的があるのではないかと勘ぐってしまいます。
(だってカモを増やしたいですもん)
仮に完全に全ての記載が真実であり、有効な投資手法も公開しているとしましょう。
だとしてもその方たちが億トレーダーになる過程には非常に多くの試行錯誤という名の損失を出したはずです。
この過程こそが、その方たちの財産となって今の利益を出しているのです。
繊細な相場観や大胆なポジション取りなどは初心者がいきなり真似できるものではありません。
基本から着実に、堅実に学んでいくのが一番の成功への近道であると考えましょう。
- ポイントまとめ
- そもそも情報が正しい保証はどこにもない
- 億トレーダーをそのまま真似してはいけない
- 基本から着実に、堅実に学んでいくのが一番の近道
それではまず基本中の基本から行きましょう。
そもそも株とは何なのか?
あなたは「株って何?」と聞かれて説明できるでしょうか?
「株は有価証券の一種だよ」
これは間違いではありませんが親切な回答ではありません。
「ダイコンって何?」と聞かれて「野菜だよ」と答えているようなものです。
簡単に説明します。
「株とは会社の所有権のようなもの」です。
これを見て「???」と感じた人は一緒にじっくりと勉強していきましょう。
あいまいな知識で株に手を出すと痛い目を見てしまいます。
株式の定義とは?
株式の定義を確認します。
一緒に見てみましょう。
株式とは、均等に細分化された割合的単位の形をとる株式会社の社員たる地位のこと
多くの人はよくわからないと感じるかもしれません。
1つずつ見ていきましょう。
「均等に細分化された割合的単位」とは?
トヨタを例にして考えていきましょう。
トヨタの同じ1株であれば価格も同じですよね?
同じ種類の株式なら「こっちの1株は有利で、こっちの1株は不利」だとかはありません。
同じ1株であれば同じ大きさなのです。(=「均等に」)
株式って一つの企業が1株しか発行してないわけでなないですよね?
一つの企業が何万株も発行しています。(=細かく分けられている=「細分化された」)
トヨタであれば3,417,997,492 株発行しています。
これを「均等に細分化されている」と言っているのです。
また、その株式を何株持っているか(何%持っているか)によって得られる利益や権利の大きさが異なります。
1%株式を持っている人と10%持っている人では異なりますよね?
こういった株式の特徴を踏まえて「割合的単位」と言っています。
「株式会社の社員たる地位」とは
これまたわかりづらいかもしれません。
まず、会社法上の「社員」とは会社員のことではありません。
「社員」とは株主のことを言います。
「地位」というのはここでは、「権利の所有者」というような意味合いです。
つまり、「株式会社の社員たる地位」というのは、「株式会社の株主としての権利」と言い換えることができます。
ここまでを全て整理してみましょう。
「株式とは、(同じ大きさで細かくなっている)株式会社の株主としての権利のこと」
もっと短くしてみます。
「株式とは、株主の権利のこと」です。
つまり、株式を売買するということは、株主としての権利を売買していることに他ならないのです。
土地の権利書を売買しているようなものです。
それでは、実際に株主にはどのような権利があるのかご存知でしょうか?
株主に認められる権利ってなに?
具体的に株主に認められる権利について見ていきましょう。
株式投資で成功するための基本としてしっかり抑えましょう。
最初に「株とは、会社の所有権のようなもの」といいました。
自分が会社の所有者だったとしたらどんな権利を求めるかを考えると理解しやすいと思います。
大きく分けて以下の3大権利が株主に認められています。(会社法105条)
配当を受ける権利
正確には「剰余金の配当を受ける権利」といいます。
企業が出した利益を配当として受け取ることのできる権利です。
この配当による利益のことを投資の世界ではインカムゲインといいます。
主に長期的に株式を保有する人が狙う利益です。
株主は会社の所有者ですから、その利益の配当を受け取れるのは当然のことです。
残余財産の分配を受ける権利
企業が倒産や解散をした時に、企業の残った財産を受け取ることができる権利です。
株主より先に債務者を優先して財産を分配しますが、残った財産に関しては株主が持っている株式数に応じて受け取ることができます。
株主は会社の所有者ですから、使わなくなった所有物を回収できるのは当然のことです。
株主総会における議決権
株を取得したら、株主総会に参加することができます。
「株主総会のご案内」が郵便ポストに届きます。
この株主総会において、自分の持っている株式数に応じて議決権を行使することができます。
株主は会社の所有者ですから、会社の方向性を決める権利があるのは当然のことです。
この「株式数に応じて議決権を行使」して議案を決定することを資本多数決といいます。
一人一票ではなく一株一票なのです。
この資本多数決を理解することは株式投資において超超超重要です。
資本多数決はいわば、株式(お金)をたくさん持っているほど有利な制度です。
これに対して、一人一票の民主主義的な多数決のことを頭数多数決といいます。
一般的に多数決といったら頭数多数決のことです。
後で詳しく説明しますが、資本多数決を理解することはあなたが株で成功するための超近道です。
本当に重要です(しつこい)
その他の株主の権利
ここは上級者向けの内容ですので、初心者は飛ばしてしまって構いません。
(上級者はこれらの権利をよく理解することでさらに利益を大きくすることができるかもしれません)
上の3大権利に加え、他にも以下の権利が認められています。カッコ内は会社法の条文です。興味がある人は読んでみましょう。
また、下線マーカーの権利は株主なら誰でも行使することができる単独株主権です。それ以外の権利については(企業が要件を緩和していない限り)何%か株式を持っていないと行使できません。
名義書換請求権
(133-1)
「この株は私のですよー」と言って会社の株主名簿を書き換えてもらうことができます。
通常勝手にやってもらえるので気にする必要はありません。
株式買取請求権
(116)
一定の要件を満たした場合に自分の株式を会社に買い取ってもらうことを請求できます。詳しくは条文参照
総会決議取り消しの訴え提訴権
(831)
総会で「いくらなんでもそれアカンやろ!」的な決議をしたとき等にその決議の取り消しを主張することができます。裁判で決着をつけます。
会社組織に関する行為の無効の訴え
(828)
会社の設立や株式の発行、処分等に関して「それは納得できんぞ!」という時に訴えることができます。
累積投票請求権
(342-1)
選挙で言うところの比例代表制のように、取締役を選ぶときに少数意見を反映できるようにするための制度をやってね!と言う権利です。
違法行為差止請求権
(360)
会社が暴走して違法行為をしている時に「やめんかいこら!」と言える権利です。
株主代表訴訟提訴権
(847)
役員等を訴えることができます。結構よくやっているので聞いた人も多いかと思います。ただし乱用できない制度になっているので「マジでムカツクとき」以外は使えません。
各種閲覧謄写権
(31-2.125-2.252-2.684-2.318-4)
理由があれば定款・株主名簿・新株予約権原簿・社債原簿・総会議事録の閲覧や謄写をすることができます。
かなり使える権利ですが、知らない人も多いです。(投資に有利な情報も…)
株主提案権
(303.304.305)
一定の要件を満たした株主は、株主総会で決めることについて「これについて話あってよ!」と提案することができます。
株主総会招集請求権
(297)
一定の要件を満たした株主は、「株主総会を開いてくれ」と言うことができます。
役員の解任の訴え提訴権
(854)
役員等が不正してるにも関わらず総会の解任決議が否決されたら訴えることができます。
例:同族経営等で会社が支配されている場合など
検査役選任請求権
(358-1)
定款をチェックする人を選任することを請求できます。定款とは会社のルールブックという理解でOK。基本的に会社はこのルールブックの範囲内でしか活動できないと思ってください。
会社の解散の訴え
(833)
やむを得ない事由がある場合に会社の解散を訴えることができます。
まとめ
さて、ここまで「株式とは何か」について説明してきました。
これらの知識が直接的に投資手法に関わってくるのは上級者になってからかも知れません。
ですが資本主義社会に生きる一人の社会人として知っておかなければならないことです。
これらの知識を初心者のうちから知っていることによってマーケットの見え方も変わってくるはずです。
「急がば回れ」ではないですが、すぐに利益を出すことにこだわり過ぎず、しっかりと基本的な知識を抑えていきましょう。
「自分にはまだ知識が足りない」と謙虚に認識することは何よりも大切なことです。
次のステップでは株価の変動要因について説明します。
これに関しては知っているだけで優位性のある手法を見つけるための大きなヒントになるでしょう。