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サラリーマンの例のポイント・マイル・クオカードは横領罪?

サラリーマンが仕事で何かを買った時に自分のポイントカードやクレジットカードにポイント・マイルを貯めたとしたら横領になるのか?

また、出張等の宿泊時に例のクオカードによるキャッシュバックは横領になるのか?

結論から言うとなり得ます

ネット上の「問題ない」という答えを信じても問題があった時にその書き込み者に責任を取ってもらえる訳ではありません。

どういった場合が横領で、どういった場合がセーフなのか確認しておきましょう。

また、ならない場合にも別の問題が発生します。

最後に思わぬリスクについても書いてます。

これについても確認しておきましょう。

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横領とは?

刑法第253条で定められています。

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

結構重い罪ですね。

  • 「業務上自己の占有する他人の物」
    会社のお金・カードの支払いによって発生したポイント・マイル
    出張等の宿泊先でのクオカードのキャッシュバック
    この点はわかりやすいと思います。
  • 「横領した者」
    「横領」に該当するかどうかがポイント

がポイントですね。

前者については、特に疑問点はないと思います。

会社名義のカードなどで備品等を購入するときに自分のポイント・マイルを貯めてしまった時などのお話です。

または、宿泊時にクオカードなどのキャッシュバックを受けている場合です。

そこで「横領」に該当するかが問題ですね。

横領に該当し得るケース

簡単です。

「会社が許可しているかどうか」

これに尽きます。

もし、会社で禁止されているのだとしたらそれは「横領」の可能性が高いです。

万が一会社の許可無く貯めてしまった場合は、すぐに確認をした方が良いと思います。

会社が明示的に「許可する」旨を規則等に書いているのであればセーフです。

逆に明記されていないのであれば、後々それを理由に降格やリストラする都合のいい材料を会社に与えてしまっているようなものです。

業務上横領は相対的親告罪

時々勘違いしている人がいるので念のため書いておくと、業務上横領は相対的親告罪といって、加害者と被害者とが親族関係のある場合に限り被害者の告訴が必要です。

つまり、会社と従業員との関係では被害者の告訴は必要ありません

いきなり逮捕されても文句は言えないということです。

会社が訴えなくても刑事裁判になる可能性があるということを強く認識してください。

会社の許可があるかどうか重要

法律の問題では、「明示的か」「黙示的か」も問題になります。

明示的というのは「はっきり言ったり、書いたりしていること」です。

黙示的というのは「はっきりは言ってないけど黙認していること」です。

これらが裁判で問題になったりもします。

しかし、ここでは保守的に考えましょう。

つまり、「会社が明示的に許可していない場合は勝手にポイント・マイルを貯めない、クオカードは得ない」ようにするということです。

これが一番安全です。

わからないのであれば会社の就業規則等のルールを確認しておきましょう。

また、上司や経理に確認しておきましょう。

ほとんどの上場企業では禁止されているはず

上場企業の多くは会社員が自分のポイント・マイルを勝手に貯めることを禁止しているのではないかと思います。

というのは、監査法人などから指導が入っているはずだからです。

厳密に経理処理をするとなると、煩雑な処理になりがちなので、多くの上場企業ではそもそも禁止されているはずです。

とはいえ、指導はあくまでも指導であってそれに従うか否かは会社次第です。

もし、上場企業で会社員が自分のポイント・マイル貯めてOKな会社があったら教えて下さい。

ポイント・マイル・クオカードを得てOKの場合も新たな問題が

仮に会社が明示的に「ポイント貯めてOKだよ!」「クオカードOKだよ!」としているとしましょう。

この場合、業務上横領は問題になりません。

別の点で会社そのものとあなた自身が問題になる可能性があります。

ポイント・クオカードは給与

厳密には、業務上得たポイントを自分が自由に使えるのであれば、それは給与として考えられます。クオカードも同様です。

つまり、会社員であるあなたが得たポイント分、クオカード分を会社は給与として計上しなければなりません

これをやっていない場合、その会社は粉飾をしていることになり兼ねないからです。

給与の額によって源泉徴収額が変わっていますよね?

源泉徴収すべき金額を過小にしてしまっている可能性があります。

また、財務諸表上で計上すべき費用の費目が変わってしまいます。

従業員一人一人の貯めたポイント・マイル・クオカードの額は小さくても会社全体で見たら相当な額になっている可能性があります。

そうなるとこれは結構な問題になってしまいます。

なにより、「会社内にそれを指摘する人間が誰もいなかったのか」という点が内部統制に問題があると私なら見做します。

実際はよほど大企業でないと大した金額にはならないでしょう。なのでほとんどの場合、相対的な金額の重要性は決して高くありません。しかし、問題の質的な重要性は決して低くはありません。

ポイント・クオカードは所得

また、従業員個人としては、ポイント・クオカードは所得として考えられます。

つまり、その金額が一定額以上になるのであれば所得税が発生するということです。

その分をしっかりと確定申告していないのであれば脱税です。

もちろん、会社の経理が従業員個人個人のポイント付与分・クオカード付与分を詳細に把握し、会社が給与として経理処理しているのであれば、その分の税務処理もされているはずなので、自分が改めて確定申告する必要はないでしょう。たぶん。

整理しておきましょう

会社がポイント・マイル・クオカードを得てOKとしている場合
会社が適正に経理処理している→何ら問題なし
会社が適正に経理処理してない→確定申告の必要があるかも

 

ここまで書いてくるとだいたいの方が想像していると思いますが、それなり企業なら従業員個人がポイント・マイル・クオカードを得ることは禁止しているはずです。
だって経理処理面倒くさいですもん。
その上最悪、粉飾扱いされちゃたまりませんからね。
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会社は不正を把握していても黙っているかも

一番怖いのは以下のようなケースです。

会社は個人が勝手にポイント・マイル・クオカードを得ることを禁止している

あなたはバレてないと思ってポイント・マイル・クオカードを得ている

会社はあなたが不正を働いていることを実は知っているけど黙っている

会社は把握しても直ぐに指摘するとは限りません。

クビにしたい時に急に持ち出しますよ。

今後定年までの期間、会社の業績がずっと好調で、かつ、あなたがずっと有能で会社に必要な人間であれば大丈夫でしょう。

しかし、そうでないなら非常に危ういです。

 
上述した通り、厳密には業務上横領です。

業務上横領の刑事事件としての時効は7年です。

民事では被害者(会社)が知った日から3年です。

この知った日というのがポイントで、本当は知っていたとしても「さっき知りました」と言われてしまったら実質的に民事での時効がなくなってしまいます。

 
事件化して裁判されたら退職金どころではないですね。

もしこういった状況に該当するのであれば、すみやかに会社に報告して謝罪をしておいた方が良いと思います。

会社にバレてなくても意外な所に敵はいる

これは以下のようなケースです。

会社は個人が勝手にポイント・マイル・クオカードを得ることを禁止している

あなたはバレてないと思ってポイント・マイル・クオカードを得ている

会社はあなたが不正を働いていることをまだ把握していない

このようなケースであっても安心してはいけません。

だって、それ業務上横領ですからね。

意外なところからチクりが入るかもしれませんよ?

まさか同僚に自分が勝手にポイント・マイル・クオカードを得ていることを話してなんかいないですよね!?

出世競争でライバルを蹴落とすためや、単なる嫌がらせ等でチクられたらヤバくないですか?

敵は意外と近いところにいるものです。

周り全員が同じようなことをしているのであれば大丈夫かもしれませんが、

もし「話を合わせているだけで、自分はやっていない」同僚がいたとしたら要注意

あとあと、持ちだされてしまいますよ。

 
このポイントやマイル・クオカードを勝手に得る行為は、副業がバレるといった事とは性質が異なります。

だって刑事事件化できるお話ですからね。

同僚が会社にチクる分には大きな問題にはならないかもしれませんが、警察に直接チクりに行かれたらどうします?

金額によっては相手にされないかもしれませんが、弁護士同伴で通報しに行けばおそらく問題になりますよ。
(警察は弁護士同伴だと割りとすぐ動いてくれます)

社内から指摘があった分には会社は大きな問題として捉えないかもしれませんが、警察から連絡が来たら対応せざるを得ませんよね?

今後そういう嫌がらせが流行るかもしれない

サラリーマンは「会社員」という枠の奪い合いです。

自分が意識していなくてもいろんな所に敵がいるかもしれません。

  • あなたの会社に採用されなかった人
  • 無職の人
  • 単にあなたの会社をよく思っていない人
  • あなた自身をよく思ってない人
  • あなたの会社にお金を出資している人
  • 嫌がらせを楽しむ人
  • 物凄く正義感が強いひと

様々なところに監視の目はあるかもしれませんよ。

自分はまったく関係ないと思っているところから思わぬ刃が飛んで来るかもしれません。
 

また、欧米に比べ日本では「有能な人が出世する」というよりも「無能な人は出世しない」傾向にあると思います。

積極的な出世ではなく「こいつは問題ないから出世させるか」といった消極的な人事です。

言い方を変えれば、足の引っ張り合いで出世している人も多いということです。

同僚は仲間でもあり、同時にライバルにもなっていることを忘れてはいけません。

少しでもリスクがあるならやめておいた方がよいでしょう。

 
個人的には、サラリーマンをやっている親しい友人には「絶対に自分はやるなよ」と言っています。

また、「やっている人を見つけたら日時と金額メモっときな、後々役に立つから」とも言っています。

会社員は労働市場のパイの奪い合いという競争です。
出世は会社内の役職の奪い合いという競争です。

競争には勝者もいれば、敗者もいます。
両者を分けるのは、時にほんのわずかな「意識の違い」かもしれません。

大きな組織では自分が競争でリードするために、他者を蹴落とすことも普通に行われています。

気をつけてくださいね。

まとめ

少々大げさに書いてきました。

しかし絶対ないとは言い切れないことです。

小銭のために人生を棒に振るリスクを負うのは避けましょう。

 
また、もし上場企業で従業員がポイントやマイルを貯めることを許可している企業をご存知の方がいたら是非コメント欄にて教えて下さい。

その企業とそこの監査法人がどこか調べたいので。

おまけ
中には監査法人自体がクオカードとか黙認しているところもあったりますね。

個人的にはそんな監査法人の監査を受けている企業の株に長期的に投資することはありません。

だって「内部統制に問題のある監査法人」に監査されている「企業の内部統制」ってもう…

ミクロで見れば個々人のポイント額やクオカードの額なんて正直どうでもいいです。
それ自体が業績に影響するかといえばしないでしょう。
しかし、組織としてそれを許容・黙認しているのは大きな質的問題を孕んでいると捉えています。
こういった小さな事を許容してしまう意識から、大きな事に繋がっていくと考えているからです。

まぁこれには多様な意見があると思います。
別に問題視する必要はないと思うのであればそれで良いと思います。
感覚の違いですからね。

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