個人事業を行っている際に、事業名(屋号)で口座を開設する方法を解説します。
実際に私も屋号名での口座を開設したことがあります。
総合口座ではなく振込口座です。
開業届も必要ありません。
もくじ(見出しのまとめ)
開業届なしで任意の名の口座を作れるのはゆうちょ銀行のみ
ゆうちょ銀行以外の各銀行では、開業届けが必要だったり、「口座名+氏名」になってしまったりあまり条件がよくありません。
ゆうちょ口座では、開業届なしで任意の団体名で口座が作れます。
ただこの先もずっと作れるかはわかりません。
というのも、各銀行で任意の名前で口座が作れないのは、マネーロンダリングや不正送金・振り込め詐欺の防止の意味合いもあるからです。
ゆうちょ銀行では可能ですが、ゆくゆくは任意の名前では口座開設できなくなるかもしれません。
口座解説に必要なもの
必要なものは3つです。
前2者の説明はいらないと思いますが、「団体規約」ってなんぞ?となると思います。
この口座は任意の団体として口座を作るので、その団体としての規約が必要になります。
ただこれもコピペでOKです。
【団体名】 会則
(名称)
第1条 本会の名称は、【団体名】とする。(設立日)
第2条 2016年◯月◯日(事務所)
第3条 本会の事務所は、【代表者の住所】とする。(目的)
第4条 本会は、【活動内容を一言】の周知・発展することを目的とする。(活動・事業の種類)
第5条 本会は、目的のために【活動内容】を行うことを実施する。(会員)
第6条 この会は、第5条に係わる関係者をもって会員とする(規約改定)
第7条 この会の運営に規約改正が必要な場合は、【団体名】会員の話し合いにより定める。
附 則
本会則は、設立の日(平成27年◯月◯日)から施行する。この規約の記載内容が正しいことを証明します。
平成 年 月 日代表者住所 【代表者の住所】
代表者名 【代表者名】
以上の【】内を自分の情報に変えてください。
あとは印刷して持っていけばOK
後半で実際に私が持って行ったものも紹介します。
会員名簿が必要になることも
これはゆうちょ銀行側の担当する職員によって対応が分かれます。
会員名簿がなくても口座開設をできることもありますが、私の場合は会員名簿が必要でした。
会員名簿には代表者ともう一人の氏名と住所が載っていればOKです。
念のため、自分ともう一人誰かの氏名・住所を記載しましょう。
これも後述します。
郵便局での実際の流れ
ライン風でお送りします。
細かい言葉の言い回しは記憶が曖昧なので気にしないでください。
任意の団体名で口座の開設をお願いします。
規約・会員名簿等も持ってきています。
(最初に言うと話が早い)
はい、少々お待ち下さい
(マニュアルを持ってくる)
複数名の団体でしょうか?
はい。
規約・名簿を拝見させていただきます。
お願いします。
問題なさそうですので、コピーを取らせていただきます。
どうぞ。
それではこちらにご記入ください。
(口座開設の書類)
「名前」には団体名をご記入ください。
ローマ字もそのままご記入ください。
ローマ字の場合、フリガナに読み方をご記入ください。
キャッシュカードの郵送の際に、ポストに団体名がないと返送されてしまいます。
そのため「住所」の末尾に、代表者名の記載をお願い致します。
は~い
こちらの同意書へもご記入ください。
(反社会的勢力と無関係であることの同意書。どんな口座を開設する場合にも必要)
はーい
(ここで挙動不審にならないように注意してください)
パスワードを4桁でご入力ください
はーい
これでお手続きは完了です。
後日、カードと通帳がご記入いただいた住所に郵送されます。
ありがとうございました
(満面の笑みで)
ところで、こちらの金融商品などはいかがでしょうか?
(営業がはじまる)
うん?利回りどのくらいですか?
(食い付く)
○%くらいです。ゴニョゴニョ
ははは、それなら自分で運用した方が利回りいいですね。
(ドヤ顔で)
また今度よろしくお願いしますね。
こんな感じです。
銀行は結構金融商品の営業をしてきますが、「自分で運用した方が利回りいい」と言うだけで一切の営業がなくなるので便利ですよ。
だいたい全ての手続に15~20分程度掛かりました。
慣れていない行員だともう少し掛かるかもしれません。
私が持って行った規約と同意書
一応載せておきます。
○○○○会則
(名称)
第1条 本会の名称は、○○○○とする。(所在地)
第2条 本会の所在地は、本会代表の居宅とする。(目的)
第3条 本会は、会員への有益な情報提供および会員同士の情報交換を通じ、以って会員の利益を追求し、延いては日本経済の発展に資することを目的とする。(活動の種類)
第4条 本会は、前条の目的を達成するために以下の活動を実施する。
(1) 会員から会費の徴収
(2) 会員への情報提供
(3) 会員同士の情報交換
(4) 上記(1)~(3)に付随して生じる活動(会員)
第5条 本会の会員は、本会の目的に賛同し入会申込書を代表に提出し、代表が承認した者とする。(退会)
第6条 会員は、退会届を代表に提出し任意に退会することができる。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、退会したものとみなす。
(1)本人が死亡した時
(2)会費の支払いが滞ってから3ヶ月経過した時(役員)
第7条 本会の役員として代表1名を置き、任期は3年とする。ただし再任は妨げないものとする。(総会)
第8条 本会の総会は、会員を持って構成し、年に1回開催するものとする。ただし、必要があるときは臨時に開催できるものとする。
2 総会は、以下の事項について議決する。
(1)会則、活動内容等の変更
(2)活動報告及び予算編成
(3)その他会の運営に関する重要事項
3 総会は、1名以上の出席をもって成立し、総会の議決は出席者の3分の2以上の賛成をもって成立するものとする。但し代表は議決に対する拒否権をもつ。(事業年度)
第9条 本会の事業年度は、毎年○月○日に始まり、翌年○月○日に終わる。附 則
本会則は、設立の日(平成○年○月○日)から施行する。
改めて見るととんだ独裁団体ですね。
○○○○ 会員名簿 (○年○月○日 現在)
役員 氏名 住所
代表 自分の名前 自分の住所
会員 誰かの名前 その人の住所
「誰かの名前」には家族や友人などを書けばOKだと思います。
念のため「自分の住所」とは違う住所の人にした方が良いでしょう。
いちいち確認はされなかったです。
実際のカード・通帳
キャッシュカードには団体名のカタカナ読みが入ります。
団体の所在地に代表者の氏名を記入しているので「おところ」に代表者氏名が入りますが、振込を受ける時などには表示されません。
営利目的でなければ納税はいらない?
営利目的の個人事業などは納税しなければダメですよ?
それ以外のサークルなどの任意団体が会費を集めていても納税はしてない場合が多いですよね?
実際、営利目的でなければ納税していない団体がほとんどだと思います。
一応法律では以下のようになっています。
法人でない社団とは、多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体のうち法人格を有しないもので、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有し統一された意思の下にその構成員の個性を超越して活動を行うもの
つまり、サークルは「法人でない社団」になります。
この「法人でない社団」でも「収益事業」を行う場合には課税されます。
これには「政令で定められた事業」と「継続して事業場を設けて営まれるもの」の2種類があります。
簡単に言うと一般的にビジネスになっているものは含まれます。
要は店舗とか持っていたら収益事業です。
その他、必要に応じて随時その事業活動のための場所を設け、又は既存の施設を利用してその事業活動を行うものも含まれます
ex)移動販売、セミナー等のように場所がその都度変わっても該当
「継続して」というのは、事業年度の全期間を通じて継続して事業活動を行うもののほか、次のようなものが含まれます。
「ひとつの事業計画に基づいていてもその遂行に期間を要するもの」
ex)土地の造成、全集の出版など
「相当期間にわたって継続して行われるもの」や「定期的・不定期に反復して行われるもの」
ex)夏だけ行う海の家や祭りの出店など
ということで、ビジネスとして行うなら納税が必要なので脱税しないよう注意しましょう。
心配であれば毎年微妙に赤字にしておけばOKです。
Wikipediaにそれぞれの取扱いがわかりやすく説明されていましたので参考にどうぞ。
民法:権利能力なき社団
法人税法:人格のない社団等
条文や判例を読むと租税回避を思いつく人もいるでしょうが、やめておきましょう。
税務署を敵に回すのは賢い選択ではありません。