利権というと悪いイメージを持っている人も多いでしょう。
ほとんどの人は利権の内側で甘い汁を吸えないので批判が多くなるのは当然です。
ここでは、「利権とはなにか?」という点から「利権の作り方」まで考えていきましょう。
もくじ(見出しのまとめ)
利権とは何か?
辞書による定義では
利益を専有する権利
つまり、利益を独り占めする権利ということですね。
日本にも多くの利権があり、甘い汁を吸っている人も多くいます。
利権と既得権益の違いとは?
辞書による定義では
既得権益とは、ある社会的集団が歴史的経緯により維持している権益のこと。
つまり、既に誰かに持っている権益ということですね。
「利権」が権利そのものを指しているのに対し、「既得権益」はそれが誰かに既に帰属していることも指しています。
また、辞書の定義通りに理解するなら、既得権益は権利を「独り占め」はしていないとも言えます。
まぁほとんど同じ意味で使われている場合が多いと思います。
持ち主が居ることを暗に示しているのが「既得権益」
といったところでしょうか。
以下文中では利権と既得権益を合わせて「利権等」と書きます。
正しい利権の作り方
それでは利権等の作り方について説明します。
カンタン3ステップです。
- 正しい利権の作り方
- 何らかの組織を立ち上げる
- 利害の共有化をする
- 利権を維持するコストを支払う
それぞれ見ていきましょう。
何らかの組織を立ち上げる
まずは、権利が帰属する主体を作らなければなりません。
先々のことを考えると株式会社が望ましいですが、「○○協会」や「○○会」でも構いません。
できれば、既に利権団体がいない分野を選びましょう。
利権団体同士での醜い争いを避けるためです。
また国内でまだ新しい分野であるほど容易に利権を作れます。
利害の共有化をする
ここが一番のポイントです。
ここさえうまくやればボロ儲けができます。
という状況のことです。
利害の共有化をすることで、周りの人間との利害が一致し、
All for One
One for All
状態になります。
利害の共有化は相手にコツがあります。
主に権力者と利害の共有化をするのがオススメです。
三権分立から考えよう
権力者といってもわかりづらいですよね。
三権分立から考えてみましょう。
日本は「立法機関・行政機関・司法機関」の3者に権力を分散して相互監視しています。
このうち、「立法と行政」は少なくとも抑えておきましょう。
抑えるべきは、国会議員と官僚・公務員です。
国会議員にお布施をして自分に有利な立法を促したり、官僚を天下りとして受け入れたりします。
議員には直接的にお金を渡してはいけません。
それは法律違反になる場合があります。
法に触れない複雑なスキームを用意する必要があります。
官僚は各省庁から受け入れてもいいですし、特定の省庁の専用天下り先になってもよいでしょう。
他の企業が参入できないような行政をしてもらえたらボロ儲けです。
特に自分の会社の事業に関係する法律を取り扱う省庁から天下りを受け入れるのがポイントです。
天下りとして受け入れても実際に仕事をしてもらう必要はありません。
とりあえず籍だけ用意して給料を数千万支払っておきましょう。
継続して行えば、各省庁の天下り先として定着し、有利な行政を行ってもらえます。
メディアと利害を共有化する
メディアも抑えておいたほうが良いでしょう。
特にテレビはまだまだ影響力があるので必須です。
メディアと利害の共有化をする最もカンタンな方法は上客になることです。
広告宣伝費としてテレビCMをガンガン打ちましょう。
宣伝効果で売上も伸びて一石二鳥ですよ!
こうして上客になることで、万が一の不祥事や利権批判があったとしてもほとんど報道されなくなります。
「報道の自由」の大義名分のもと、「報道しない自由」を実施してくれます。
テレビに加え、最近ではネットも無視できませんね。
ネットで万が一利権を指摘された場合に備えて、「工作員」や「火消し」と呼ばれる人達も雇っておきましょう!
同様にネット媒体に広告費を注ぎ込むのも有効です。
大手企業と資本提携する
株式会社であるなら資本提携も正統派の利害の共有化です。
お互いに株式を持ち合うことで利害の共有化をします。
新たなビジネスチャンスも生まれ一石二鳥です!
この時、株式の比率には注意しましょう。
怪しいコンサルタントに任せて気がついたら会社が乗っ取られていたなんてことがないように気をつけてください。
業務提携ではなく資本提携でより強い関係性を築きましょう。
利権を維持するコストを支払う
基本的には上で説明してきたことを継続して行うだけです。
利権を失う脅威になるモノは早期に対処しましょう!
資格ビジネスの例
資格ビジネスを利権化しているのであれば、合格率を調整しましょう!
合格率を適度に絞るだけで「難関資格」の位置づけになり、自称頭脳自慢の人たちが多くの受験料を支払ってくれます。
また、合格率を絞ることによって、資格保持者数を少なく維持でき、供給過多になることを避けられます。
そのため、試験は絶対評価ではなく、相対評価にしましょう。
まずは、合格者数を決めてから試験を実施します。
難関資格にしない場合には格好いい資格名にしましょう。
最近なら横文字なんか使うとよく釣れます。
それだけで受験者が増えます。
また、その資格を持っているとどれだけかっこいいのかイメージ戦略を練りましょう。
この場合の受験者層は自称頭脳自慢ではないので、受験料がある程度高くても大丈夫です。
その受験料とその資格を持つことで得られる追加的収入の計算は基本的にできない人がターゲットです。
どの資格でも特にやっておきたいのは、無償独占にすることです。
その資格を持っていないで業務を行うと無料であっても違法行為になるように立法してもらいます。
これによって資格保持者だけの利権化に成功します。
さらに合格者を絞れば強固な利権のできあがりです。
ついでに、天下り先として一定の要件を満たした人には試験免除も付けましょう。
利権・既得権益は悪なのか?
もちろん建前では「適正な競争が阻害される」などと言うでしょうが、多くの人は本音では「自分が甘い汁を吸えないから」批判していると思います。
もし「利権等の内側に入っていても批判できる正義の心」があるのであれば大したものです。
しかしそもそも、利権等は悪なのでしょうか?
なぜなら「公平・公正な競争を阻害するから」です。
ネット上で「利権だ!」と批判されているのはだいたい程度が過ぎているので悪ですね。
それではちょっと発想を広げてみましょう。
あなたの会社も小さな利権
会社というのも小さな既得権益です。
経営努力によって取引先など他社との関係を築き、市場価格より安くモノを仕入れたりしてますよね?
これも見方によっては既得権益です。
「コネを作って利益を得る」ことに他なりません。
どこまでが正しい経営努力で、どこからが批判されるべきコネなのかは線引が難しいところです。
全てを公正・公平にするのであれば、仕入も売上も必ず市場を通して市場価格によって売買を行わなければなりません。
また、多くの場合、会社員である事自体が既得権益です。
特にコネ入社の場合は該当します。
あなたの家庭も小さな利権
最も身近な既得権益をあなたは持っているはずです。
それは、「親」です。
特にお金持ちの家庭に生まれた人はそれだけで大きな既得権益を得ています。
親からの贈与・相続という形で場合によって莫大な利益を生んでいます。
しかも会社の場合と異なり、努力の結果でもありません。
「どの親の元に生まれたか」
これだけです。
実際、大金持ちの家庭に生まれるか、超貧困家庭に生まれるかで人生は大きく左右されるでしょう。
利権を批判するのであれば、この点も公平にしなければなりませんね。
生まれた家庭という既得権益を公平・公正にするのであれば、「贈与税・相続税100%」にし、誰でも同じ教育機会を享受しなければなりません。
批判を受けているのは「努力・競争を阻害する」利権
実際に批判を受けているのは、その「利権獲得までに努力や競争がない利権等」「利権獲得後に競争を阻害している利権等」ですよね。
利権獲得までに努力や競争がない利権等
たとえば、「コネ入社」なんかがコレに該当しそうです。
ただ、世代を超えて考えると、親世代等がコネを得るための努力をしているケースがほとんどです。
つまり、「祖先が有能だった」ということですね。
能力が遺伝すると仮定するなら、有能な親の子を入社させるのは自然なことです。
また、会社規模で有利な経営をするために、権力者の子息や関係者をコネ入社させるのも自然なことです。
それによって自社に間接的な利益が生まれるのであれば経営努力の範疇です。
巨視的に見れば、「本人でなくてもどこかで誰かが相応の努力や競争を経ている」場合がほとんどでしょう。
何もない所からポッと利権が生まれる訳ではありません。
利権獲得後に競争を阻害している利権等
「利権獲得後に競争を阻害している利権等」も同様に批判を受けています。
電波利権などがこれに該当しますね。
基本的には産業自体への参入障壁を大きくすることで実現できます。
また、利権を維持するためにもコストが掛かります。
天下りを受け入れたり、政治家・メディアにお布施をしたりなどそれなりのコストが掛かります。
つまり、「対価」を支払っている場合がほとんどです。
しかし、ほとんどの利権ではその「対価」以上の莫大な利益を享受しています。
「利権獲得までに努力や競争がない利権等」も適正な競争、市場を歪める行為ですがそれまでに先祖が何かしらの努力をしています。これを否定すると、世代を超えた努力の積み重ねを否定することに繋がり、人類の発展そのものの否定に繋がり兼ねません。「親の仕事を継ぐ」なども否定することになります。「継いだ後に適正な競争に晒されていればそれで良い」というのが個人的な考えです。これを否定すると社会制度としては共産主義に近づいてしまいます。
一方で「利権獲得後に競争を阻害している利権等」は直接的に市場を歪める行為であるので否定すべきです。これが行き過ぎると、競争自体が否定され、結果的に階級社会のようになってしまいます。
全ての人間でスタート地点を同一にしたいのであれば、世界的に贈与税・相続税を100%にする必要があります。日本だけでは他国に逃げられてしまうからです。さらに世界的に教育の質や機会なども平等にしなければなりません。これらは現実的ではありません。
現実的な対応は、「直接的に競争・市場を歪める行為を徹底的に排除し、適正な競争を促進する」ことです。また、「世代を超えた負の遺産」を排除するのも重要です。競争の結果格差が生まれるのは仕方がありませんが、負の格差を世代を超えて引き継いでしまうことは避けなければなりません。これは「適正な自由競争を促進し、セーフティネットを整備する」という資本主義の基本的な考え方です。
各個人としてできるのは、自分の現在の状況を所与の条件として、効用を最大化することです。社会制度や社会全体の大きなマクロ的なことにケチを付けていても、自分の財布は潤いません。そういった活動は他の人に任せておいて、自分は自分の財布を潤すことに注力しましょう。社会制度などの「所与の条件」自体を変えようとするのは労力と対価が見合わないので後回しにしましょう。
まとめ
一言で利権といっても様々です。
あらゆる団体・組織が利権を持っています。
また、競争の結果、いわば自然発生的に既得権益や利権が生じる点についても書きました。
だからと言って共産主義にしても歴史の過ちを繰り返すだけでしょう。
重要なのは「何が適正な競争」なのかです。
どこまでが適正でどこからが不適正なのかは人によって判断基準は異なるでしょう。
個人的には「市場を歪める行為」は厳罰に処せばよいと思います。
資本主義の根幹である自由競争を否定する行為です。
共産主義国家で指導者を否定するのと同様に厳罰にすべきです。
罰則が小さすぎるからこういった問題がなくならないのです。
しかしその罰を定める立法者が利権まみれであれば問題は解決しないでしょう。
ということで、どうせ解決しなそうだから、自分の財布を潤すことに注力しようよ!というのが当サイトの結論です。